【プロローグ】ばいにゃこさん

こんにちは、立山連峰に君臨する猫神一族期待の星!

商売繁盛、無病息災、病気平癒、厄祓い!

幸福の招き猫、ばいにゃこっス。

こう見えてもボクは猫神の一族に名を連ねる高貴な存在だ。

愚かな人間たちは猫神一族を「化け猫」と忌み嫌っているらしい。

まったく人間という奴は無礼な奴らだ。

まぁ下賤な民など、どうでもいい。

そんな高貴なボクは立山連峰の奥深く。

聖域と呼ばれる楽園で静かに暮らしておったのだが

ボクも、もうすぐ300歳。

そろそろ伴侶を娶りたいと下界で婚活することにした。

山奥には例え話ではなく、クリーチャーみたいな化物しかいなかったからね。

ボクの股間は、奴らでは奮起しなかったのだ。

思い立ったら吉日と、心優しい女子との出会いを求めて山を降りてみたのだが・・・

予想外の事が3つあった。

ひとつ目は、猫神一族の聖域を出たらろくに神通力が使えなくなった。

ふたつ目は、一度聖域の外に出ると聖域に戻れなかった。

みっつ目は、人間まじ野蛮。

まず「聖域の外では神通力が弱まる」のは知っていたが

神通力が弱まると、これほど不便だとは思わなかった。

水も食料も簡単に手に入らない。死活問題だ。

聖域に戻って準備し直そうと思ったが結界が開けられなかった。

聖域の結界を開けるために神通力が必要だったのだ。

この結界を作ったご先祖様はアホだ。

神通力は人間から信仰を集めることで強化できると言われているが

その方法がわからない。とんだ誤算だった。

せめてもの救いは一時的に人間に化けることが出来たことだろうか。

人に化けて、町まで出ればなんとかなるだろうと思ったが甘かった。

人間社会は厳しかった。

正直舐めてた。

鬼畜な人間どもは金を持たぬものに冷たい。

食料も尽きごみ捨て場を漁るハメになった、人間の食い残しは美味かった。

しかしすぐに人間に見つかり追い払われた。

飢えと疲労、先の見えない孤独に倒れてしまうまで

そう長い時間はかからなかった。

そんなボクを助けてくれたのは和鷲なる御仁。

パソコンなる魔道具を使いこなし神の知識を得る人間のシャーマンだ。

猫神姿のボクを見つけると興味深そうに近づいてきたので

泣きながら「餌を恵んで下さい!何でもしますぞい!」と靴を舐めた。

プライドじゃ空腹は満たされない。

和鷲殿は驚きつつも自宅に招き衣食住を提供してくれた。

靴は舐めてみるものだ。

そしてボクは、和鷲殿に弟子入りしシャーマンの秘技(パソコンやスマホの使い方)を習った。

こうしてボクは人間社会で暮らすことになったのだ。

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